
サーバー運用中、Trend Micro Deep Security Agent(以下 DSA)のインストールやアップデート時に
ログフォルダが生成されない
サービスが起動しない
といったトラブルに遭遇することがあります。
特に今回のケースでは、Windows イベントログに以下のエラーメッセージが記録されていました。
■ 実際に記録されていたイベントメッセージ(一般化)
▼ イベント1:Error 1303(権限不足)
Product: Trend Micro Deep Security Agent -- Error 1303.
The installer has insufficient privileges to access this directory:
C:\Program Files\Trend Micro\Deep Security Agent\dsp.
The installation cannot continue.
Log on as administrator or contact your system administrator.
意味:
インストーラーが必要なフォルダにアクセスできず、インストールが中断されたエラーです。
▼ イベント2:Error 1622(トランザクション異常終了)
Failed to end a Windows Installer transaction.
Agent-Core-Windows-20.0.2-xxxx.x86_64.msi.
Error 1622 occurred while ending the transaction.
意味:
Error 1303 の失敗により、Windows Installer の処理が正常に終了できなかった状態です。
二次エラーの扱いになります。
■ この2つのエラーが意味するものは?
結論として、
DSA のインストールが「フォルダの権限不足」で失敗 → その影響でトランザクションが異常終了した
という流れです。
そして、インストールが完了していないため、
通常生成されるはずのログフォルダ
C:\ProgramData\Trend Micro\Deep Security Agent\log\
が存在しない、という現象が起こります。
■ なぜログフォルダが無いのか?4つの原因
① インストールが未完了(最も多い原因)
インストール中に Error 1303 が発生しているため
ログフォルダが作られる前に処理が止まっている状態です。
② 過去のアンインストール残骸のみが残っている
Program Files 側のフォルダはあるのに、ProgramData 側にログが無い場合、
壊れた残骸状態の可能性があります。
③ ProgramData への書き込み権限が不足
セキュリティポリシーや監視ソフトが ProgramData への書き込みを制限している場合、
ログフォルダが作成不能になります。
④ DSA のサービスが一度も起動していない
サービスが起動しないとログが生成されません。
インストール失敗 → サービス未作成 → ログなし
というシンプルな流れです。
■ ログが無い状態でもバージョン確認は可能!方法まとめ
ログフォルダが見つからなくても、DSA の現行バージョンは確認できます。
方法1:アプリと機能(GUI)から確認
- Windows の「アプリと機能」を開く
- Trend Micro Deep Security Agent を探す
- 表示されているバージョンを確認
最も分かりやすい方法です。
方法2:Program Files 側の実行ファイルから確認
フォルダ:
C:\Program Files\Trend Micro\Deep Security Agent\
この中の
dsa.exe → プロパティ → 詳細タブ
でバージョンが確認できます。
方法3:PowerShell(運用者向け)
(Get-Command "C:\Program Files\Trend Micro\Deep Security Agent\dsa.exe").FileVersionInfo.ProductVersion
出力例:
20.0.2.17700
方法4:レジストリから確認
レジストリキー:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\TrendMicro\DeepSecurity Agent\
コマンド:
Get-ItemProperty "HKLM:\SOFTWARE\TrendMicro\DeepSecurity Agent\" | Select ProductVersion
■ ここで重要:インストールが失敗したままだとどうなる?
- サーバーがクラウド上の監視に登録されず「無防備状態」
- 不正侵入検知が動作しない
- 脆弱性防御モジュールが機能しない
- セキュリティログが送信されず、監査の穴になる
特に企業環境では重大なリスクになります。
■ トラブルを避けるには?おすすめのクラウド管理型エンドポイント製品
Trend Micro DSA のようなエージェント型セキュリティは、
導入・更新時のトラブルが起きがちです。
以下のクラウド管理型サービスは
自動アップデート・自動監視・自動修復 が充実しており、
運用負荷の削減に繋がります。
◎ Acronis Cyber Protect Cloud
(バックアップ+EDR+脆弱性診断)
◎ ESET PROTECT
(軽量で高性能、サーバー運用者に人気)
◎ Kaspersky Endpoint Security Cloud
(クラウド連携でエージェント保守が楽)
◎ Trend Micro Cloud One
(Trend Micro のクラウド時代の後継ライン)
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