Pythonでデスクトップアプリを作るとき、避けて通れないのがGUI(Graphical User Interface)ライブラリ選びです。
Pythonにはいくつか主要な候補があり、それぞれ特徴や強みが異なります。
今回は代表的な5つのライブラリ
Tkinter / PyQt / PySide / wxPython / Kivy
について分かりやすく比較していきます。
GUIライブラリの比較表

各ライブラリの特徴
ざっくり比較
項目 | Tkinter | PyQt | PySide | wxPython | Kivy |
---|---|---|---|---|---|
ベース | Tcl/Tk | Qt | Qt (公式Pythonバインディング) | wxWidgets | 独自+OpenGL |
見た目 | 古典的(素で使うと質素) | モダン | モダン | ネイティブ感強い | フラット/カスタム |
ネイティブ感 | 弱い | 中 | 中 | 強い(OSネイティブ) | なし(独自描画) |
学習コスト | 低 | 中〜高 | 中〜高 | 中 | 中(概念が独特) |
ライセンス | 標準添付(制限ほぼなし) | GPL/商用 | LGPL | LGPL系 | MIT |
ツール | なしに近い | Qt Designer/Creator | Qt Designer/Creator | wxGlade など | KV言語(宣言的UI) |
配布サイズ | 小 | 大 | 大 | 中 | 中〜大 |
モバイル/タッチ | ほぼなし | なし(基本デスクトップ) | なし(基本デスクトップ) | なし | 強い(Android/iOSも可) |
高度UI(表/ツリー等) | 最低限 | 非常に豊富 | 非常に豊富 | 豊富 | 自作寄り |
3D/描画 | 最低限 | OpenGL/QtQuick可 | OpenGL/QtQuick可 | そこそこ | OpenGL前提で高速 |
日本語情報量 | 多い(基礎) | 非常に多い | 多い | 多い | そこそこ |
長期安定 | 高 | 高 | 高(Qt公式) | 高 | 高(ただし設計流儀が独特) |
1. Tkinter
- Python標準添付なので追加インストール不要
- 学習コストが低く、最初のGUI体験には最適
- ただし見た目は古典的で、洗練されたUIには工夫が必要
👉 おすすめ用途:社内向けの小規模ツール、学習用
2. PyQt
- Qtフレームワークを利用した強力なGUIライブラリ
- ウィジェットの種類が豊富で大規模開発にも対応
- ライセンスに注意:GPLまたは商用ライセンスが必要
👉 おすすめ用途:商用利用を前提にした本格的なアプリ開発(ライセンス費用を払える場合)
3. PySide(Qt for Python)
- Qt公式のPythonバインディング
- 機能面はPyQtとほぼ同等
- LGPLライセンスで使いやすく、企業利用もしやすい
👉 おすすめ用途:長期運用や商用開発に使いたい場合。PyQtの代替として最有力候補
4. wxPython
- OSネイティブの部品を利用するため、見た目が自然
- WindowsやmacOSで“標準アプリっぽい外観”を実現可能
- ただしOS依存の差異が出ることもあり、開発者に工夫が必要
👉 おすすめ用途:Windows向け業務アプリ、ネイティブ感を重視したアプリ
5. Kivy
- OpenGLベースでタッチUIやアニメーションに強い
- Android/iOSにも対応可能
- 業務アプリのような“普通のデスクトップUI”には不向き
👉 おすすめ用途:新感覚UIやモバイル対応アプリ、マルチデバイス開発
選び方の目安
- 手軽に始めたい → Tkinter
- 本格的な業務アプリ → PySide
- Windowsネイティブに近い見た目 → wxPython
- モバイルやタッチ操作 → Kivy
- 商用かつフル機能 → PyQt
まとめ
Pythonでデスクトップアプリを作る場合、GUIライブラリ選びはアプリの目的・配布形態・利用環境によって変わります。
- 小規模 → Tkinter
- 中規模~大規模 → PySide / PyQt
- ネイティブ重視 → wxPython
- 新しいUIやモバイル → Kivy
自分の開発スタイルや配布先に合わせて、最適なライブラリを選ぶのがポイントです。
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