
システムエンジニア(SE)にとって、ネットワーク知識は「避けて通れない必須スキル」です。
なぜなら、実際の現場で起きる障害の 約7割はネットワークが原因 と言われているからです。
しかし新人SEの多くは、
「ネットワークって難しそう…」
「どこから覚えればいいかわからない」
と不安を抱えています。
この記事では、新人SEが まず絶対に覚えるべきネットワーク基礎 を、
実務で使うポイントだけに絞って、わかりやすく解説します。
◆ 1. IPアドレスの仕組みを理解する(最重要)
ネットワークを理解するうえで、避けて通れないのが IPアドレス です。
● IPアドレスとは?
コンピュータをネットワーク上で識別するための「住所」。
例:
192.168.1.10
● “ネットワーク部” と “ホスト部”
例)192.168.1.10/24
- ネットワーク部:192.168.1
- ホスト部:10(このPCの番号)
この意味がわかれば、ほぼ半分理解したのと同じです。
◆ 2. サブネットマスクの理解
IPアドレスとセットで使われるのがサブネットマスク。
例:255.255.255.0
これは
「同じネットワークとみなす範囲」
を決める数字です。
例えば
- 192.168.1.10
- 192.168.1.20
- 192.168.1.100
これらは同じネットワークに属しているので、基本的にルーターを介さず通信できます。
◆ 3. デフォルトゲートウェイとは?
ネットワーク外に通信するときに通過する“出口”のこと。
例)
PC → ゲートウェイ → インターネット
これを知らないと、疎通確認どころか障害対応もできません。
◆ 4. DNS(名前解決)の仕組み
人間が覚えやすい「名前」を、IPアドレスに変換するしくみ。
例:
www.google.com → 142.250.xxx.xxx
DNSが壊れると、インターネットに繋がらなくなることもあります。
実務では DNS設定のミス が頻発します。
◆ 5. ping / tracert / nslookup の使い方(新人SEの必須武器)
新人SEが最初に身につけるべき「切り分けの道具」です。
■ ping:到達性の確認(生きてる?)
ping 192.168.1.10
・相手が応答するかチェック
・ネットワーク障害の初期調査に使用
■ tracert:経路の確認(どこで詰まってる?)
tracert www.google.com
・どのルーターで止まっているか確認するツール
・WAN側障害の調査で必須
■ nslookup:名前解決の確認(DNSが正しい?)
nslookup www.yahoo.co.jp
・DNSの動作確認
・表示されるIPが正しいか判断
◆ 6. TCP / UDP の違いを理解する
● TCP
- 信頼性重視
- 順番を保証
- 再送する
例:Web(HTTP/HTTPS)、メール、SSH
● UDP
- スピード重視
- 順番保証なし
- 再送なし
例:動画配信、VoIP、ゲーム通信
実務では「その通信がTCPかUDPか」を知るだけで切り分けが進みます。
◆ 7. ポート番号を覚える(最低限でOK)
よく使う代表的なポート番号を覚えるだけで十分。
| サービス | ポート | プロトコル |
|---|---|---|
| HTTP | 80 | TCP |
| HTTPS | 443 | TCP |
| SSH | 22 | TCP |
| RDP | 3389 | TCP |
| DNS | 53 | UDP/TCP |
ファイアウォール調査で必ず使います。
◆ 8. ネットワーク構成図を読む力を身につける
新人が最初に苦しむポイントがこれ。
構成図には主要機器が登場します。
- FW(ファイアウォール)
- LB(ロードバランサ)
- SW(スイッチ)
- Router(ルーター)
- Server(サーバ)
構成図が読めれば、
「どこで詰まっているか?」がわかるようになります。
◆ 9. ルーティングの基本を理解する
ネットワークは「どの道を通るか」で結果が変わる世界。
- どのネットワークにどうやって行くか
- その経路が正しいか
特に静的ルーティングの理解は重要です。
◆ 10. 実務に直結する“切り分け思考”を身につける
最後に最も重要なこと。
障害を解決するには“切り分け”ができるかどうか。
例:
Webにつながらない
↓
pingは通る?
↓
名前解決できてる?
↓
ポートは開いている?
↓
サーバは稼働している?
この流れが頭に入っていれば、
新人でも障害対応ができるようになります。
◆ まとめ:ネットワーク基礎を理解すれば新人SEの実力は一気に伸びる
新人SEがまず覚えるべきネットワーク基礎は以下の10項目。
- IPアドレス
- サブネットマスク
- デフォルトゲートウェイ
- DNS
- ping / tracert / nslookup
- TCP / UDP
- ポート番号
- ネットワーク構成図
- ルーティング
- 切り分け思考
これらを理解すると、障害対応力が飛躍的に伸び、
「この新人、わかってるな」と先輩に信頼されるようになります。


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