
(SQL Server ではない理由まで解説)
Windows 環境のイベントログを確認していると、以下のような ESENT エラーが出ることがあります。
(※ユーザー名・SID は伏せています)
svchost_(888)_TILEREPOSITORY…:
Unable_to_write_a_shadowed_header_for_file
C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Local\TileDataLayer\Database\EDB.chk.
Error -1032.
svchost_(888)_TILEREPOSITORY…:
The_database_engine_stopped_the_instance_(0)_with_error_(-1032).
一見すると “データベース” や “インスタンス” といった単語が並ぶため、
SQL Server のエラーと誤認しがち ですが、これは SQL Server とは無関係です。
本記事では、このエラーの原因・仕組み・対処法をわかりやすく解説します。
■ 結論:SQL Server のエラーではない
正体は Windows 内部の「ESENT」データベースエンジン
エラーに登場する ESENT(Extensible Storage Engine / ESE / Jet Blue) は、
Windows が内部で使用している組み込みデータベースエンジンです。
Active Directory、Windows Search、Windows Update など多くの内部機能が
SQL Server ではなく ESENT ベースの EDB ファイルを使用しています。
今回のエラーはそのひとつである TileDataLayer で発生しています。
■ TileDataLayer とは何か?
TileDataLayer は Windows 10/11 で使われている内部コンポーネントで、
✔ スタートメニューのタイル配置
✔ ピン留めのレイアウト情報
✔ 各アプリの配置状態
などをローカルの ESENT データベースとして管理しています。
つまり、今回のエラーは
「スタートメニューのタイル情報を保存するための内部DBが書き込めなかった」
という意味です。
■ エラー -1032 の意味は「アクセス拒否」
ESENT のエラーコード -1032 は、
JET_errFileAccessDenied(ファイルアクセス拒否)
を指します。
つまり、
- ファイルに書き込めない
- 権限が正しくない
- 別プロセスにロックされている
- プロファイルやファイルが破損している
といった「OS内部DBへのアクセス失敗」が原因です。
SQL Server のエラー番号ではありません。
■ 発生する典型的な原因
1. ファイルのアクセス権限が壊れた
TileDataLayer 配下はユーザープロファイル内にありますが、
実際には SYSTEM や OS のサービスが読み書きします。
ACL(アクセス権)が壊れると書き込みできなくなります。
2. ウイルス対策ソフトによるロック
リアルタイムスキャン中に EDB.chk をロックしてしまい、
ESENT が書き込めずエラーになるケースがあります。
3. プロファイル・DBの破損
強制シャットダウンやストレージエラーによって
TileDataLayer の EDB が破損すると発生しやすい。
4. ディスクの状態不良
クラスタエラーなどにより、一部ファイルへのアクセスが失敗するケース。
■ 影響範囲:基本は「スタートメニュー」だけ
このエラーの影響範囲はごく限定的で、
✔ スタートメニューのタイル配置が初期化される
✔ ピン留めやグループ化が保存されない
✔ 設定がリセットされやすくなる
といった UI 周りの問題に留まります。
業務システムや SQL Server、Web アプリケーションには影響しません。
■ 対処法・確認ポイント
以下は安全な順に並べています。
- 正体は Windows 内部の「ESENT」データベースエンジン
- ✔ スタートメニューのタイル配置
- ✔ ピン留めのレイアウト情報
- ✔ 各アプリの配置状態
- JET_errFileAccessDenied(ファイルアクセス拒否)
- 1. ファイルのアクセス権限が壊れた
- 2. ウイルス対策ソフトによるロック
- 3. プロファイル・DBの破損
- 4. ディスクの状態不良
- ✔ スタートメニューのタイル配置が初期化される
- ✔ ピン留めやグループ化が保存されない
- ✔ 設定がリセットされやすくなる
- 1. Windows の再ログオン / 再起動
- 2. ディスクチェック(安全)
- 3. イベントログで周辺エラーを確認
- 4. プロファイル破損の確認
- 5. セキュリティソフト・バックアップツールの除外設定
1. Windows の再ログオン / 再起動
一時的なロックであればこれだけで解消します。
2. ディスクチェック(安全)
管理者 CMD で:
chkdsk C: /scan
ファイルシステムにエラーがないか確認します。
3. イベントログで周辺エラーを確認
以下が同時刻に連発している場合は要注意:
- ESENT
- Disk
- Ntfs
- User Profile Service
破損やディスクの問題が疑われます。
4. プロファイル破損の確認
別ユーザーでログインし、同じ ESENT -1032 が出るか確認。
- 別ユーザーは問題なし → 元ユーザーの プロファイル破損 が濃厚。
5. セキュリティソフト・バックアップツールの除外設定
リアルタイムスキャンが TileDataLayer をロックしている場合は除外設定で改善します。
■ まとめ
今回のエラーは、次のように整理できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エラー番号 | ESENT -1032 |
| 意味 | ファイルアクセス拒否 |
| 関連ファイル | TileDataLayer の EDB.chk |
| 影響 | スタートメニューのタイル情報の保存が失敗 |
| SQL Server 関連 | 完全に無関係 |
| 原因 | 権限・ロック・破損・ディスク不調など |
スタートメニュー周辺の不具合が起きている場合は
プロファイル側をチェックしつつ、
ESENT 系エラーが他にも発生していないか、
ディスクの状態と併せて確認するとよいでしょう。


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